その③「未来に続くこと」
どのタイミングで、何を習わせるか、それについて正解はないけれど、でも、
本人も周りも幸せにする生きるちからにつながることが一つある、の続きです。
ただその前に、発達障害がある子どものことを、少しお話しようと思います。
現在、小中学生の15人に1人は何らかの発達障害があると言われていていますが、
彼らが日常生活の中でアンバランスな行動をとるのは、脳の働きの違いによるものです。
コミュニケーションが苦手・興味がないと集中できない・動き回って落ち着きがない等の
特性は、決して本人の努力や親のしつけの問題ではなく、最近では理解と支援によって
その「違い」を「個性」へと育てる試みがなされています。
実際、発達障害のある子どもを20年追跡した最新研究によれば、好きなものを通して
成長に合わせ関係が広がり、それが社会参加や自立生活に繋がっていく可能性が大きい
とのこと。好きなことは自分からやろうとする、多少の困難があっても自分で工夫して
克服しようとする—それはすべての人にも通じることではないかと研究者は解説します。
たとえ脳機能の発達に障害があっても、好きなこと・楽しめることがあれば、人として
生きる力の発達においては障害にはならず、むしろ個性や能力へと育てていける、
そういった希望の持てる報告です(2023年4月)。
そう、ですから「習いごと」は、どのタイミングで何を習わせるかも大事ですが、
まずは本人が好きなこと・楽しくて夢中になること、それを見つけてみませんか。
「習いごと」の前に、普段の生活の中で、遊びの中で、何気ない会話の中で、
子どもの目がキラっと輝く、キッと顔つきが変わる、パッと顔が明るくなる…
そんな瞬間が必ずあります。親ならば、それを見逃す手ありませんよ。
だって、かなりエキサイティングな瞬間ですもの、見つけたら、やった!ですよ。
そのためにも、普段から子どもを興味深く見守って欲しいと思います。
この子はこれが好きなのか、この子はこうやりたいのか、これがこの子なのかと。
「習いごと」は、その後でも十分間に合うのではないでしょうか。 (続く)