その③「交流分析(TA)とは」
さりげない日常の会話の中にも、心地よさと後味の悪さが潜んでいる ―
前回そんな例を挙げてみましたが、そういうやり取り=交流を詳しく見てみましょう、
というのが交流分析(Transactional Analysis:略してTA)という理論です。
カナダ生まれのアメリカ人精神科医エリック・バーンが始めた交流分析TAは、
精神分析の口語版とも言われ、人の複雑な心のあり様を分かりやすく説明しています。
人の心そのものは目には見えませんが、その構造を「自我・超自我・イド(本能)」や、
「意識・前意識・無意識」などの言葉で説明したものが、フロイトの精神分析です。
そして交流分析では、精神分析でいう「自我」に、下位の3つの状態があるとし、
それぞれに「親:P」「成人:A」「子ども:C」という呼び名をつけました。
自我=心はひとつだけれど、その中に3つの自我状態が存在するという考え方です。
さらに「P」は[支配的親/養育的親]に、「C」は[自由な子/適応した子]に分かれます。
でも、これだけでは何がなんやら??でしょうから、会話の例を挙げてみますね。
子どもが学校から足を引きずり顔を腫らして帰って来ました。
この時、皆さんはどうされますか?
①「親:P」の自我状態なら…
・支配的親→「誰にやられた?」「何かしたのか?」「学校は何をしてるんだ!」
・養育的親→「かわいそうに、痛かったでしょう」「すぐ病院に行こうな」
②「成人:A」の自我状態なら…
・「ケガはどんな具合か、病院に行くべきか」「どんな状況?いつこうなった?」
③「子:C」の自我状態なら…
・自由な子ども→「大変だ!どうしよう!」→「やり返してやるからな!」
・適応した子ども→「またやられたら怖いね」「我慢しようか」→「今に見てろ!」
自分だったらどれに近い対応をするか、ちょっと想像してみてください。 (続く)